「ヒヨコ近視モデルを用いたカシスアントシアニンの近視化抑制効果」を確認!!
日本カシス協会(会長:宮永嘉隆西葛西・井上眼科病院院長)の法人会員である、明治製菓株式会社(社長:佐藤尚忠)は、ヒヨコを用いた試験でカシスアントシアニンが近視化を抑制することを、西葛西井上眼科こどもクリニック所長勝海修(かつみおさむ)先生との共同研究で明らかにし、平成21年9月16日・17日に名古屋大学(名古屋市)で開催された「第5回国際アントシアニンワークショップ2009」で発表しました。
近年、パソコンやゲーム機、携帯電話などの普及に伴い、視力の低下した小中学生が増加しています。近視は遺伝的因子あるいは環境因子により生じると考えられており、学童期の子供の近視は、読書やパソコン、ゲームなどの「近くを見る作業」をした時間および頻度により進行していきます。
ヒトが読書などの「近くを見る作業」をしている時には焦点は網膜後方へずれるため、長時間、高頻度で「近くを見る作業」を続けていると眼軸長(*1)が延長し(眼球がラグビーボールのような形になる)、それが慢性化することで軸性近視(*2)となります。
今回は、学童期の近視化を反映する実験モデルである近視用レンズを装着したヒヨコを用いた試験を行いました。ヒヨコに近視用レンズを装着すると、焦点が網膜後方へずれるため眼軸長が延長して、ヒトの近視化モデルとして応用可能となります。
この試験では生後8日が経過したヒヨコ(雄)の右眼に近視用レンズを装着、左眼は裸眼とし、カシスアントシアニン(BCAs)とビルベリー(*3)アントシアニン(BBAs)の有効性を比較しました。アントシアニンとは、抗酸化物質ポリフェノールの一種で、有色野菜や果物の赤紫色を構成する色素成分です。
その結果、BCAs経口投与群は、溶媒投与群に比べ有意に眼軸長の延長を抑制したのに対し、BBAsはBCAsと同じ投与量では眼軸長の延長を抑制しませんでした。したがって、経口投与したBCAsは、近視用レンズによる眼軸長の延長をBBAsよりも強く抑制することがわかりました。
これらの結果、学童期の近視の進行を抑制、あるいは遅らせるにはカシスアントシアニン(BCAs)が有効であることが示唆されました。
ご参考
*1「眼軸長(がんじくちょう)」とは
角膜から網膜までの距離です。
*2「軸性近視(じくせいきんし)」とは眼軸長が通常よりも長いため網膜上で焦点が合わず、網膜の手前で焦点を結んでしまうことです。
*3「ビルベリー」とはブルーベリーの野生種といわれ、ホワートルベリーと呼ばれる多年生落葉低木です。
【試験方法について】
カシスアントシアニン、ビルベリーアントシアニンおよび蒸留水(溶媒対照)は1日1回3日間、アントシアニンとして100mg/kg体重を経口投与し、左右眼軸長はレンズ装着の3日後(4日目)に眼軸長を計測しました。