眼精疲労にもカシス

目に負担をかける近点作業が眼精疲労の一因

正常なヒトの水晶体は自然な状態では無限遠にピントが合っています。つまり遠方を見ている状態では、毛様体筋のピント調節機能の負担は少なくなっています。逆に近距離の対象物(近点)にピントを合わせるためには、屈折率を増加させるために毛様体筋を緊張させて、レンズ(水晶体)を厚くしなければなりません。


パソコンなどモニターを凝視することで、ピントフリーズ状態になってしまうことは「ピントフリーズにカシス」で説明しました。通常は、遠くを見たり凝視を解くことによってピントフリーズ状態は解消されますが、長時間連続的に近点作業を行うことなどで、頻繁にピントフリーズ状態が解消されない状態が続いてしまうと、「眼精疲労」となり、ピント調節機能に悪影響を及ぼす可能性があります。

実験
カシスアントシアニンは眼精疲労も改善するか

カシスアントシアニンにピントフリーズを改善するはたらきがあることは前に説明しましたが、眼精疲労に対してはどうでしょうか?それを調べるために、カシスアントシアニンを摂取したグループと摂取しないグループに分けてパソコンを2時間使用してもらい、首、腕、目、肩、腰の5ヶ所の自覚疲労をチェックしました。

実験
方法
前項の一時的な近視化の抑制効果と同時に、眼精疲労軽減効果の実験も合わせて行ないました。前項の実験の被験者21人に、VAS法で首・頭、腕、目、肩、腰の5ヶ所の自覚疲労をチェックしてもらいました。
結果
2時間のパソコン作業後、カシスアントシアニンを含むドリンクを飲んだ被験者の平均値は、カシスアントシアニンを含まないドリンクを飲んだ被験者の平均値よりも低くなっており、カシスアントシアニンによる自覚疲労の軽減効果が確認できました。とくに目と腰では、有意差が認められました。目以外の部位でも疲労度が軽減されたことは、興味深い結果といえます。

カシスアントシアニンは、末梢血管の血流を活発にし、筋肉の緊張状態を緩和するため、パソコン使用などによる眼精疲労を軽減すると考えられます。