第2回 カシスサミットを開催

日本カシス協会(会長 宮永嘉隆 西葛西井上病院院長)は去る2006年8月2日(水)に、青森県青森市のホテル青森にて、『第二回カシスサミット』を開催致しました。

今回第二回目となるカシスサミットは、更にカシスを身近に感じていただく事を目指す為、収穫時期である8月に日本一の生産量(国内生産量の9割)を誇る青森市にて開催致しました。国内外のカシス生産者や研究者、食品メーカー、料理評論家、消費者など約200名が参加し、カシスの効果効能に関する講演や様々なカシス料理の試食を通して、それぞれの角度から食材としてのカシスの魅力と可能性を探りました。

カシスサミットは「数年前まで、カシスという果実に関する情報は一般的に認知されていなかったものの、昨年10月10日の日本カシス協会発足を機に、様々な方面からカシスに対する関心が高まっていると感じている」という宮永嘉隆会長の挨拶により、開幕致しました。

生産者を代表して、日本一のカシス生産地の青森市と、世界的なカシス生産国ニュージーランドから、それぞれのカシスの取り組みや生産管理体制などが発表されました。日本カシス協会副会長を務める、青森市長の佐々木誠造氏は、1975年に弘前大学より寄贈されたカシスの苗木が、紆余曲折を経て様々な商品開発やPR活動などを地道に行った結果、国内一の生産量を誇るカシスに成長した事に、青森のカシス生産者へ感謝の意を表明致しました。また、「今後は需要の増加にあわせて栽培面積や栽培者を拡大すると共に、無農薬での生育や手積みでの収穫など市民の協力を仰ぎながら、全国に誇れる果実そして日本一の産地として揺ぎ無いものにし、2,3年後には年間生産量を現在の約2倍の7、8トンを目指す」と発表致しました。そして食の安全・安心・健康志向といった消費者ニーズに応える為、生産から流通も視野にいれた新鮮な地元の農水産物の供給を図り、政策の一環である「地産地消」と「食育」の取り組みをカシスにも反映したいとの考えを表明致しました。

日本カシス協会 宮永嘉隆会長 日本カシス協会 佐々木誠造副会長
日本カシス協会
宮永嘉隆会長
日本カシス協会
佐々木誠造副会長

ニュージーランド
ブラックカラント協会会長
フィリップ・ハイアット氏
ニュージーランドブラックカラント協会会長 フィリップ・ハイアット氏

ニュージーランドブラックカラント協会会長のフィリップ・ハイアット氏は、ニュージーランドでは長年家庭の良薬としてカシスが親しまれており、風邪やせきなどに効くとされ家族の健康に欠かせないものであった、という歴史の長さを感じさせるエピソードを紹介。さらに現在カシス農家は、政府によって監督されるトレーサビリティを始めとした、厳密な安全管理システムに従って栽培を行っており、果実の安全のみならず加工における安全性・品質管理も徹底されているカシス生産の管理体制を紹介致しました。そしてマーケットニーズに応じたより良い品種改良の継続(ビタミンC・アントシアニンの高含有の品種など)、使用農薬を限り減らす為の国立穀物研究所との共同研究などを今後の展望として掲げました。

また、今回のカシスサミットは、カシスポリフェノール研究の第一人者である弘前大学理事副学長の加藤陽治氏と、札幌医科大学教授の大黒浩氏をお招きし、学術的・医学的見地からそれぞれカシスの持つ可能性や、効果効能に関する講演を実施いたしました。加藤陽治副学長はカシスの持つ抗酸化力に注目した「カシスポリフェノールの健康パワー」について発表し、その中で様々な病気の原因となり得る活性酸素を除去する為に、抗酸化成分を多く含む食品を採るなど食生活で抗酸化力を高める事が必要、との見解を示しました。植物は生物の中で最も活性酸素ストレスの大きい環境で生育し、その為野菜や果実には活性酸素消去分子が多く含まれています。その為、冷涼な土地である青森市で収穫できるカシスや、紫外線が日本の7倍もあるニュージーランドのカシスはとても抗酸化力に優れており、食品の3機能である栄養機能・感覚機能・生態調節機能の全てを豊富に持つ果実だという事が発表されました。それに加えカシスは抗酸化力だけでなく、他のベリー類を初めブルーベリーよりもポリフェノールを多く含む事が判明されました。

弘前大学理事・副学長
加藤陽治氏

大黒浩教授は、緑内障とカシスアントシアニンの関係をテーマにした「カシスと眼疾患について」講演を行い、実は緑内障は糖尿病に続き、失明の主要疾患で緑内障患者は世界で約7000万人にもなる事が分かりました。緑内障は視神経の血液の循環不良による事が原因の一つと言われており、弘前大学眼科の研究グループが健康食品の中で視神経の血流を改善するものはないか調査した結果、青森県名産のカシスに含まれるカシスアントシアニンが視神経血流の改善効果が認められた事が発表されました。現在の緑内障患者に対する眼科医療は眼圧をコントロールするのみだが、加えて、カシスアントシアニンなど視神経血流を良好にするサプリメントを摂取する事が、今後主流の治療になるだろうとの見解を示しました。

札幌医科大学教授
大黒浩氏

食材としてのカシスの魅力と可能性を探求するパネルディスカッション「トーク&イート」も行われ、生産者を代表してあおもりカシスの会会長の佐藤智子氏、料理評論家の山本益博氏、そして消費者代表の弘前大学教員学部講師の斉藤尚子氏の3名のパネラーが出席致しました。ホテル青森の佐藤総料理長とベーカリーの井上シェフが振舞った”カシスのソルベ”、”カシスのタルト”、”帆立のカシス風マリネ”、”長芋のカシスドレッシングサラダ”、そして”カシスミルク”のバラエティー豊かな計5品を試食しながらそれぞれのカシスに対する思いや、カシス料理のアイデアなどを語り合いました。約30年前にフランスで食したカシスのシャーベットがとても美味しく、以来カシス特有の酸味と風味が忘れられないという山本氏は、初めて頂いた青森産カシスは酸味、僅かな渋みが素晴しく全国で評価されるに値する。地産地消だけでなく、東京の優れたパティシエに青森のカシスを知ってもらう事が大切だと確信したと語りました。

今回紹介されたカシス料理は参加者達にも振舞われ、カシスが健康に良いだけでなく、味も大変素晴しいと好評を得るなど、パネルディスカッションは盛況のうちに終了致しました。

あおもりカシスの会会長 佐藤智子氏 料理評論家 山本益博氏
あおもりカシスの会会長
佐藤智子氏
料理評論家
山本益博氏
弘前大学教員部講師 斉藤尚子氏 カシス料理
弘前大学教員部講師
斉藤尚子氏
(左から)
カシスのタルト・カシスのソルベ・カシスミルク・
帆立のカシス風マリネ・長芋のカシスドレッシングサラダ

「トーク&イート」終了後、佐々木副会長より「第二回カシスサミット in 青森」の宣言文が読み上げられ、採決の結果参加者の全会一致で採択されました。

第二回カシスサミット宣言文

“「味よし」・「体によし」・「取り入れやすし」のカシス三大魅力を日本国民の皆様へお伝えし、生活におけるカシスの存在感をますます高めていくことを宣言します。”

日本カシス協会 佐藤尚忠副会長
日本カシス協会/佐藤尚忠副会長

最後に日本カシス協会佐藤尚忠副会長より、当協会は今後もカシスの持つ”健康機能”と”美味しさ”の両面から研究そして普及に邁進し、皆様の生活向上に役立てていく努力を続けていきます、という挨拶によりカシスサミットは閉会致しました。

カシスサミット開催前、夏の紫外線を豊富に浴びて濃い紫に色づいたカシス農園に、メディアの皆様をご招待致しました。生のカシスは保存がとても困難で、産地以外ではなかなか見る事ができません。ほのかな香り漂うカシス農園の中で、今年のカシスの生産状況や収穫方法など、農園の方からメディアの皆様へ説明していただきました。

カシス農園

カシスの他に青森市が誇るもう一つの名物が、カシスサミットの当日が初日を迎えた、日本三大祭りの一つ「青森ねぶた祭り」。このねぶた祭りに当協会のキャラクター「目グマちゃん」が青森市の前ねぶたとして出陣する為、カシスの普及活動の一環として今回カシスサミットに参加していただいたメディアの皆様と一緒に参加致しました。初めて見る「目グマちゃん」は皆様から注目を集め、会場からは大きな声援をいただきました。

青森ねぶた祭り

日本カシス協会事務局